指原莉乃、初監督作品「尾崎支配人が泣いた夜 Documentary of HKT48」を見てきました。
これまでAKBや乃木坂のドキュメンタリーは全部見てきましたが、はっきり言ってこのHKTの映画が1番良かった気がします。
美少女エンターテイメントの素晴らしさ
まずこの映画を見て思ったことは「美少女エンターテイメントは最高だ」ということです。
美少女エンターテイメントと分かりくく書きましたが、つまり秋元康プロデュースのアイドルが、総選挙や選抜争いを経て成長していくストーリーのことです。
総選挙を「点」として見ても、もちろん面白いのですが、やはりグループ内の人間関係や、時系列で起こった出来事を踏まえた上で、総選挙を見るとリアリティがグッと増します。感情移入しやすくなります。
この映画では軸となるメンバーが二人います。
坂口理子と上野遙です。二人ともグループ内知名度は低いといっていいでしょう。
坂口理子はHKT2期生で21歳。トークの技術と持ち前の明るさがあるので、身内の番組ではキャラクターを発揮できていますが、選抜にはなれていませんでした。
この映画はそんな坂口と、坂口を応援するある男性ファンにスポットが当たっています。
もう一人は上野遙。この子も坂口と同じ2期生で、16歳。テレビ番組にはほとんど出ておらず、ずっと劇場を中心に活動していました。
誰よりも劇場公演には出てるので、HKT劇場の主(ぬし)といった扱い。きらびやかな選抜とは対照的に、控えめで自信のない印象。そんな上野と指原が会話する場面から、この映画は始まります。
ファンとメンバーの関係 / 劇場から生まれる物語
坂口は今でこそ総選挙で名前が呼ばれるほどの知名度になりましたが、元々ファンが数えるほどしかいなく、握手会の人気もありませんでした。
しかし最初についた少数のファンが非常に熱いヲタクマインドの持ち主で、じわじわとその熱がファンの間に広がり、2015年の総選挙では37位まで上り詰めます。これ、結構スゴいことです。
上野遙は、一人で6人分のダンスの立ち位置を覚えます。なぜなら選抜はTV番組出演などで劇場公演に出られないからです。その代わりに踊るのが上野。
普段練習に出れない指原は上野を頼りにしており、出番の直前に上野からフリを入れなおしてもらいます。
注目されてない坂口や、劇場を中心に頑張る上野にフォーカスしたからこそ、この映画に躍動感が生まれます。
グループ内におけるライバル関係が面白い
HKTに限らずアイドルグループには対(つい)となる二人のメンバーがいます。古くは辻ちゃん加護ちゃんや前田大島が例です。
HKTにもそんな対となるメンバーが多くいます。
宮脇咲良・兒玉遥の場合
宮脇咲良と言えばAKBの神セブン入りを果たし、3月に発売される43作目のシングル「君はメロディー」で初の単独センターを務めるほど、人気急上昇中のメンバー。
一方兒玉遥は、HKT結成当初は劇場でセンターを任されており、一時期そのポジションを他のメンバーに奪われたものの、現在ではHKTのセンターとして君臨しています。
いわばこの二人はHKTの顔であり、ライバル関係でもあります。
しかし知名度の観点から言うと、優位に立ってるのは宮脇です。
兒玉は、指原から「(宮脇)咲良のことどう思ってる?」と聞かれ、涙します。
矢吹奈子・田中美久の場合
「なこみく」の愛称で親しまれる二人です。
過去の話をすると、最初、運営や指原から押されていたのは矢吹です。「ウインクは3回」という曲で、いきなりセンターに抜擢。当時まだ小学6年生、12歳でした。
しかし映画にも出てきますが、握手会では圧倒的に田中の方が人気。田中は矢吹と同い年ながら、落ち着いており、握手会の対応も抜群。一方矢吹はあまり喋りが得意ではなく、握手会での人気は薄い印象です。
映画の中で指原が矢吹の自宅を訪れ、矢吹から「ぶっちゃけ田中のことをどう思ってるのか?」ということを聞き出そうとします。そこで矢吹は涙ながらに、自分に人気が足りてないことを吐露します。(ここ一番泣けた)
朝長美桜・田島芽瑠の場合
田島は、HKT初のオリジナルソング「初恋バタフライ」、そしてデビューシングル「スキスキスキップ」でもセンターを務めました。秋元康もオーディション時から田島の才能に注目しており、実力でセンターを勝ち取ったという印象があります。
一方朝長も運営から推されているメンバーではありましたが、控えめな性格が影響し、グループ内でのアピールがうまく出来ていませんでした。
個人的には宮脇/児玉、矢吹/田中よりも、田島/朝長のライバル対決が見ていて楽しいです。宮脇児玉、矢吹田中はメディアにも注目されやすい存在ですが、田島朝長はあまり取り上げられることがなく、しかし二人ともアイドルとしての実力は折り紙つきだと思うので、もっと注目される日が来るといいなと思います。
指原莉乃、初監督作品が持つ意味
過去にAKBや乃木坂のドキュメンタリーを見ていますが、今回のHKTのドキュメンタリーがぶっちゃけ群を抜いて面白かったです。
この映画の監督名義は指原莉乃。編集にどこまで関わっているか分かりませんが、素材の選定などはやっているようです。この「何を入れて、何を捨てるか」の指原の選択が絶妙でした。
この映画のオチを言ってしまうと、結成から2015年の紅白歌合戦の落選までのHKTの道のりを描いた作品です。
そして映画の中には、指原莉乃がどういう視点で映画を作ろうとしているのか、その制作場面も所々出てきます。
指原は元々アイドルヲタク。ファン心理もわかっているので、絶妙なさじ加減でメンバーの意見や、活動で起こった出来事を選定します。
印象に残っているのは、HKTファンである武井壮との絡みを映画に入れるか入れないかで悩むシーン。編集スタジオで彼女は「コア層はもっとシリアスな部分が見たいから嫌がるかもしれない。だけどライト層にはこれくらいカジュアルなシーン(武井壮との絡み)があっても良い」というようなことをプロデューサーに打診します。
この映画の随所に、立場も年齢も違うファンのことを考えられて挿入された場面がいくつも出てきて、従来のアイドル映画ではなく、ドキュメンタリーとしてもよく出来た映像だと言ってよいと思います。
この映画を見れば、ファンならずとも「HKTはもっと売れてもいいグループ」だということがわかります。
おまけ:感想ツイート
「尾崎支配人が泣いた夜 Documentary of HKT48」を見てきました。過去のAKB系ドキュメンタリー全部見てるけど、1番良かった気がする。
— さやしの (@IKS03) 2016, 2月 11
映画を見て思ったことは「美少女エンターテイメント最高!」ってことと、「HKTはもっと売れていい!」ってことです。
— さやしの (@IKS03) 2016, 2月 11
俺はやっぱり宮脇児玉、なこみくよりも、田島朝長ラインが一番好き。
— さやしの (@IKS03) 2016, 2月 11
この映画の軸となるメンバーの一人、上野遙。全然知らなかったけど、この映画で上野さんにフォーカスしたことは、ものすごく意味があることだったし、指原の底知れぬ愛情を感じた。
— さやしの (@IKS03) 2016, 2月 11
みくりんは、要領が良くて損するタイプ。年齢が精神に追いつく時間が必要。
— さやしの (@IKS03) 2016, 2月 11
HKTはホントいいドラフト二期生を取ったと改めて思う。ビビアン・はなちゃん・まりあのバランス感、神がかってる。
— さやしの (@IKS03) 2016, 2月 11
指原のキャリアにおいて最も重要な仕事=村重の妹たちを映画に残したこと。
— さやしの (@IKS03) 2016, 2月 11
当たり前だけど、顔面偏差値とスター性は関係ない。
— さやしの (@IKS03) 2016, 2月 11
井上由莉耶cとかもっと注目されてほしい。
— さやしの (@IKS03) 2016, 2月 11
やっぱでも一番泣けたのは奈子cのとこだよ。推されメンはつらい。
— さやしの (@IKS03) 2016, 2月 11
みくりんと奈子でどっちの立場が辛いのか、想像しただけで泣けた。
とりあえず田中美久が10年後、めちゃくちゃイイ女になるに2000万ペソ
— さやしの (@IKS03) 2016, 2月 11
山下エミリーは、あと1,2年で爆発的に売れそう。本店に引っ張った方がいい。
— さやしの (@IKS03) 2016, 2月 11
最後になりますが、メンバーの村重杏奈の妹、村重マリア・エリカをこの時期にカメラで抑えたところに関しては、さすがロリコン・指原といった感じで、かなり意味があったことだと思います。妹二人に関しても、すでに芸能活動を始めているので貴重な映像となることでしょう。