ライブの写真..とってくれるのは嬉しいけどだいたいブスだし、綺麗に撮れても顔が事故ってたら載せないでくれよ...ライブ写真掲載禁止にする。
— 葵あおい(フェアフロ/黄金時代) (@ochaP_ff) 2016年11月5日
どうしても載せたい時は私にDMで確認とって..笑
予め断っておきますが、別に撮可にしてくれ、という記事ではありません。私はカメコではないですし、単純に気になったので書いています。
そもそも日本のアーティストやアイドルのライブは撮影禁止が当たり前でした。最近になってようやく撮影可能なライブも増えましたが、とは言え、まだ撮影禁止を掲げる事務所は多いようです。
海外アーティストのライブでは当たり前に行われている客席からの撮影ですが、今回海外との比較は無意味だと思うので行いません。
なぜ事務所や運営は撮禁にするのでしょうか?
ジャニーズ事務所のように強権を発動し、IP(知的財産権)を集中的に握ることで、流通をコントロールしたいというのは理解できます。ただこれはジャニーズという、日本で今のところ地位が揺るがない事務所だから意味があることで、これから売り出すような無名アーティストにおいてはあまり意味がありません。
パブリシティー権の変化
パブリシティー権(簡単に言うと著名人の肖像権)を管理したいという意見もあります。
事務所に所属するタレントは商品であり、商品価値(顧客吸引力)を持つものに対して、制限をかけるのは当たり前です。
しかしスマートフォンの普及に伴い、誰でもどこでも撮影できる世の中になってしまいました。こういった世の中では、完全に撮影をやめさせることができないため、パブリシティー権の扱いは徐々に変化していくのではないかと考えます。
オープンスペースにおける「撮禁」の矛盾
アイドルはよくデパートの屋上とか、モールのオープンスペースでリリースイベントを行います。
ファンはマナーやルールを理解しているので、撮禁と言えばルールに従うでしょう。
しかしオープンスペースなので、一般のお客さんをコントロールすることは難しいです。そんな状況の中で、撮禁というルールを絶対守らせることができるのでしょうか?
橋本環奈的な売れ方の余地
橋本環奈さんは、1枚の写真で全国区のアイドルになったことは周知の事実ですが、まだ第二の橋本環奈は現れていません。AKB48チーム8の小栗有以さんが若干その位置に届きそうですが、まだ全国区とは言えません。
個人的に第二の橋本環奈は生まれると思っています。ただ第二の橋本環奈が生まれる条件として、ファンが撮影した、またはファンきっかけの拡散が挙げられます。橋本環奈さんのあの有名な写真もファン(カメコ)が撮影したものです。
今後ますますプロカメラマンと素人カメラマンの区別はつかなくなります。カメラの性能、レタッチ技術の平準化などにより、一般人からすれば、プロか素人かの区別がつかきません。さらに客からすれば、プロ・素人どちらの写真でもいいのです。
もちろんプロカメラマンの技術や、審美眼、タイミング、アート性などは高く評価されるべきですが、そこを撮る側が分かりやすく表現しない限り、一般的な評価は受けにくくいでしょう。
いわゆる雇われカメラマンが撮った写真より、アイドル現場という戦場を駆け抜けた一介のカメコが撮った写真の方が、ヲタクから見たら良い写真であることが多いです。
理由は分かりませんが、そこには圧倒的な「好き」という感情があるからだと思います。
技術ではプロに負けるかもしれませんが、カメコやオタクは穴が空くほどアイドルを見ています。逆に被写体に依存せず、良い写真を撮れる人がプロカメラマンを名乗るべきです。
既存メディア露出によるリーチの限界
基本的にアイドルはTV出演を目指します。
もちろんTV出演をきっかけにファンが生まれることもありますが、今後その可能性は減っていくと考えられます。
アイドルのファン層は主に若者ですが、その若者はTVや雑誌を見ません。基本的にスマホです。これはデータとして完全に証明されているので揺るがない事実です。
(参考テレビは4割を切り、タブレット型端末と従来型携帯・スマホで3割近く……メディア接触時間推移(2016年)(最新) - ガベージニュース
その中で若年層のファンを獲得するためには、スマホにおける露出を出来得る限り増やす必要があります。
タレント個人でSNSを頑張ってる人はいますが、それだけでは新規のファンは増えません。
多くのアイドルがTV出演を目指しても、せいぜい深夜番組が関の山。そもそも2016年においてゴールデンタイムの音楽番組はほぼほぼ消滅しました。深夜番組を見てるのはおじさんおばさんなので、若年層へのリーチは叶いません。
そこで大切になるのが、ファンによるSNSの拡散です。
アイドル運営に良いカメラマンがいることは少ないので、ファンに撮影・拡散してもらいます。これが一番手っ取り早い露出の方法です。
ファンは何も言わなくても勝手に、無料で広めてくれます。こんなに効果の良い広告媒体は他にありません。TV出演と、「撮可です!」の一言に集まったファンが撮影・拡散してくれた場合、かかる時間・コスト・ファンへの転換率などを比較してみると面白いかもしれません。
撮可がうまくいっている事例
撮可にして比較的上手くいってるグループと言えば、AKB48チーム8と、ピンク・ベイビーズです。2グループとも基本的に撮影OKで、SNS上での露出を圧倒的に高めています。
先に出した小栗有以さんなどは、撮可で集まったカメコのおかげで「2万年に1度の美少女」というけったいなコピーを付けられ、ネット上で拡散されました。TV露出がなくても、ネットニュースに繰り返し取り上げられ、チーム8でも最近はセンターを任せられるなど、地位を築いています。
まとめ
・スマホが普及した現代において、撮影を禁止するのには無理がある
・「スマホのみ可」のような、中途半端なルールを設けるなら、ファンの撮影したいモチベーションをうまく使って宣伝に利用した方がよい
・「カメコはライブの邪魔」問題は、撮影料金と席を別途設ければいい。撮りたいやつは払ってでも撮る
・地下アイドルが撮可問題に口を出すと叩かれる
たまに「ライブ中はパフォーマンスを見て欲しい」という運営やアイドルの意見があります。
その気持ちは分からなくもないですが、それはあくまでセルサイドの視点であって、ファンの視点がすっぽり抜け落ちています。
「カメコが撮影するのを忘れるくらい、良いパフォーマンスをすればよい」というのは極論ですが、ステージに立つプロを名乗るのあれば、ファンの視点は知って然るべき。タレントは見られるのが仕事、撮られるのも仕事です。
タレント稼業でやっていくなら、いつ何時でもキレイに撮られる心構えが大切です。